ロキノン爺の逆襲

音楽のことをつらつらと。主にアルバム、曲のレビュー

疾走と屈折で身体を揺らす ドミコ「hey,hey,my my?」

 

 

名前だけは知ってたが曲を聴いたのはこのアルバムから。最先端を追いきれない自分によくあるパターンだ…。このアルバムはなかなか好評らしい。

 

・冴え渡るサウンド、ファンキーに歌うボーカル

聴いてみた第一印象は、音が非常に良い。グルーヴが絶妙で、どんな曲調でも驚異的な安定感を示している。

ボーカルの歌い方はファンキーであり、気だるさに耳が持っていかれがちだが、高音の伸び、サウンドとの調和をよく考えている。ボーカル、サウンド共に表現力の高さが光る。

 

・揺れと焦らしに危うさ

2曲目「こんなのおかしくない?」。もはやプログレの領域に踏み込んでいるテンポの揺らし方が圧巻だ。3分強の曲中で場面が目まぐるしく変わる。危うさも感じさせるその動きにグイグイ引き寄せられる。

変化は激しいなかでもギターが同じリフを刻み続けていることで曲の主題を忘れさせていない。些細なところのようで、曲のメインテーマを整える重要なパーツである。

サビ手前で歌とサウンドが一体になって押し寄せ、跳躍を予感させる…かと思えば揺らしてくる。ちょっと変態である。

 

・ハイレベルなアルバムが作れている…!!

一曲のみ取り上げたが、このアルバムではファンキーさが光る「マカロニグラタン」、うって変わってアコースティックなサウンドで丁寧につくられた「怪獣たちは」、アルバム中で最もポップだが一筋縄ではいかない「くじらの巣」、粒揃いの曲たちが続く。

アルバムという形態をきちんと理解し、咀嚼していて、通して聴いたときのバランスが良い。昨今はアルバムというリリース単位が難しい局面だが、臆せず作り上げていることは非常に好印象である。

 

活躍が楽しみであること、ライブも気になる(音源聴いた限りではかなりすごそう)のは当然だが、もう次の新曲、新アルバムのリリースが楽しみだ。

最先端の水辺を進む sui sui duck「feel」

例によって例のごとくラジオを流していると、面白い曲が流れてきた。最近の流行かつ自分自身もハマっているポップなサウンドの上にシンセが乗っかっている。先端の音楽を破綻せずに織り交ぜている。

 

バンド名は「sui sui duck」。可愛らしくて覚えやすい、いい名前。

https://static.wixstatic.com/media/f19766_d4c73611ce494627af1f2854132ad396~mv2_d_5620_3161_s_4_2.jpg/v1/fill/w_600,h_337,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01/f19766_d4c73611ce494627af1f2854132ad396~mv2_d_5620_3161_s_4_2.jpg

(引用:https://www.suisuiduck.com/biography)

でも写真を見ると…あまりスイスイしている感じではない。

 

アートワークが非常に充実していることが面白い。サイトの構成やデザイン、ロゴが取っつきやすい。バンドよりも一つのアートチームを眺めているような感覚になる。

(でもlyricのページがリンクずれてたりURLがおかしかったりしてるから直してほしいな…)

 

最初に聴いた曲は最新EPのリード曲「feel」。ポップなのか、でもシティポップのようで、けれどEDMでもある…?ジャンル分けをしようと思うと難しいサウンドだ。冒頭にも書いたが、破綻なく織り交ぜていることで、自然と耳がいく。

歌詞が非常に聞き取りづらい。英語かと思うけど、よく聞くとほぼ日本語で歌っている。日本語を崩し気味で歌うバンドは今にはじまったことじゃないので悪いとは全く思わない。むしろ、音楽としての浮遊感が高まっていて効果的であると思う。

詞を見てみると(公式サイトに掲載されていた)、情報量が多いことに驚く。かなり畳みかけるように歌っていることが読むことで分かった。

2曲目「circle」では、バンドの視点と言うか世界観というか、どのような切り口を持っているかがより明確に示されている。

対比的な僕ら違いを間違いと言う
理知的な論を少し展開してみない?
私的になった電卓各所でミスを誘発
功利的な案を少し展開してみない?

なかなかアイロニカルな詞で興味を惹いた。サウンドに引き込まれているばかりだと歌詞で思わぬカウンターを打ってくる。

5曲目「pepper」では、ポップな一面がより強調されている。軽くはねているサウンドとゲームのような歌詞が程よいスピードで展開されている。韻の踏み方も相まって、この曲もやはり日本語には聞こえにくく、洋楽かと錯覚する。

 

カテゴライズが難しいバンドだが、様々な面で現代的、最先端だ。音楽が洗練されたバンドも大好きだが、新しいものへの貪欲さがあるバンドが出て来るのは心強い。

 

音源やネットのアートワークばかり注目しているが、実力が非常に気になる。ライブに足を運んで確かめてみたい。結成から日が浅いから…と思ってなめてかかるといい意味で裏切ってくれることを期待している。

ロッカーが詰まっていた、飛び立っていった。「シンクロナイズド・ロッカーズ」

 

シンクロナイズド・ロッカーズ

シンクロナイズド・ロッカーズ

 

 ◆原石をコンプリートしていた

このアルバムが発売されて13年が経ち、自分がこのアルバムを聴いてから10年以上経った。聴いたのが中学生の頃だったせいか、今も驚くほど色あせないで聴くことができる。
改めて参加アーティストを見ると、その豪華さに驚いてしまう。ミスチルは今も国民的バンドのままだが、バンプはそれに迫る勢いで成長し、テナーは人数が倍になり、そしてエルレは伝説となった。聴いてた当時は想像もしていなかったが、参加アーティスト名を羅列しただけで、すごいアルバムになってしまった。先見の明と言うのが適切かは分からないが、ロッカーの原石を集めていることが非常に興味深い。
そんな先取りをしたおかげで、Funny Bunnyはエルレの曲、ハイブリッド・レインボウはバンプの曲だと若い子は勘違いをしてしまうそうだ。

 ◆トリビュートアルバム入門編、ピロウズ入門編

「若い子は~」と言っているが、自分だってピロウズの入りはこのアルバムだから偉そうなことは言えない。これを聴いてから、オリジナルのアルバムに手を出して聴いてきた。

原曲とトリビュートを聴き比べて、「ストレンジカメレオンはサビの歌いまわしが綺麗でミスチルのほうがいい」「ハイブリッドレインボウはシャウトの感じで原曲のほうがいい」と比較をしていた。

そのうちそういう比較が不毛だと気付いた。原曲がいいとか、原曲に近いアレンジがいいとか、アーティストの技量とかが問題ではない。参加したアーティストが楽曲と真正面から向かい合って出した答えを披露してくれるのがトリビュートアルバム。そんな楽しみ方を教えてくれた一枚でもあった。

 ◆大御所にも出会えた

参加していたバンドの若手(当時)をピックアップしたけど、大御所側もすごかった。ピーズにYO-KING佐藤竹善など。知ってはいたけど何から聴けばいいのか…という存在に触れることができた。

特に、佐藤竹善の「カーニバル」は強烈だった。そつないようで、身体の芯まで響いてくるソウルフルな歌い方、サビの最後でのおどけ方もファンキーで抜かりない。ロックを聴き始めて半年弱ぐらいの時期にこれに出会い、それまで聴いてきた歌とは全く違う存在、こんな自在な歌い方ができるアーティストがいることが衝撃的であった。

 ◆音楽と音楽環境の思い出補正

このアルバムを聴いたのは中学2年生の頃。自宅にあるパソコンはボロボロでネットは繋がらず、CDのコピーすらできなかった。週末は電車を撮るためにお小遣いを使っていた自分にはCDを買うのはおろかレンタルして手元に残すのも一苦労だった。そんな思い出補正もかかってか、このアルバムが今も輝いている。

 

余談だが、大学一回生か二回生の夏に「休みの間にピロウズのアルバムをぜんぶ聴く」という目標を立てたが、5枚目くらいであえなく撃沈した記憶がある。今なら全部聴けるかな…でも体力に自信がない。

 

パソコンとそれに繋いだオーディオで、apple musicから取り込んだ楽曲を聴ける毎日になった。10年前のことがちょっと懐かしい。

 

この記事を書こうと思ったのは、先日、ストレイテナーのトリビュートアルバムが発売されて、それにピロウズが参加しているのを発見したためである。13年越しに逆に参加するという流れがかっこいいなと感じた。上から目線だが、それだけストレイテナーが成長できたんだなとも思う。また歌ってる曲がいいんだよな…この感想もそのうち。

チャットモンチー「サラバ青春」×大阪環状線103系


103系引退スペシャルムービー 「LOOP 大阪環状線」

 

評論チックな文章が多かったけれど、今回は一人のロック好きとして、一人の鉄道好きとして心を揺さぶられたので書きなぐる。

 

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RISOKYOでポップに遊ぶ「Awesome City Club BEST」

 

バンド名は知っていたけど、どこから入ればいいかなーと悩んでいたところにベスト盤がリリースされていた。軽い気持ちで聴いたら見事にハマった。

 

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地続きの音楽を示す スピッツ「1987→」

 

スピッツが結成30周年である。自分が生まれる前からはじまったバンドが未だに最前線で活躍している。心から祝福する。

 

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COLDPLAY A HEAD FULL OF DREAMS TOUR at Tokyo(2017/4/19)

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14歳の頃から聴いていたイギリスのロックバンドが目の前に居る。極東の小さな島国で観れた。どれだけ幸せなことだろうか。

 

東京ドームに着くと外国人の姿が多く、成田空港の国際線ターミナルにでも迷いこんだかと思った。ビールとおつまみを買いこんでのんびりと開演を待つ姿は日本のライブ会場よりちょっと余裕があって素敵だった。

 

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