ロキノン爺の逆襲

音楽のことをつらつらと。主にアルバム、曲のレビュー

星と月のヒーローがそこにいる メレンゲ「僕らについて」

 

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4年ほど前、カルチャー誌「Swich」を手に取った。特集は卓球マンガ「ピンポン」の特集だった。

特集名は「HEROES ヒーローを待ちながら」。この作品のキーワードを出したコピーにやられてレジへ持って行った。

 

■「ピンポン」、SUPERCAR

「ピンポン」は、映画を見てからマンガを読んだ。未だアニメは見れていない。

映画がとにかく強烈に印象に残っていた。家族と初めて観たときはやや意味が分からなかったが、中学生の、卓球部に所属しつつエレキベースを一人家で弾いていた頃に観なおしたときは強烈に響いた。ベタな物語ながらもキャラクターの個性と葛藤、それに重なるテクノを中心としたサントラ、楽曲の数々。ちょっとだけ知識があったので、卓球のシーンも面白かった。今まで観た邦画のなかでも特にお気に入りだ。既にSUPERCARというバンドを知ったのもこのときだ。主題歌「YUMEGIWA LAST BOY」は口ずさめるようになっていた。

 

■跳躍の瞬間へ

表題の曲について。

聴いた時、SUPERCARの新曲か?と思ってしまった。サウンド然り、コーラス然り。もちろん、歌を聴けばメレンゲだと分かるが、映画の「ピンポン」を意識した曲の作りに思わず引っ張られてしまった。

「赤い陽」「夢」「光りだす」と前向きな言葉が並び、爽やかさと力強さが特徴の詞になっている。テクノっぽいと言ってしまえば安直になるが、未来や明るさを想起させるサウンドが、曲の持つ前進する印象を強くさせている。

 

 

冒頭で出てくるフレーズ。投げやりな表現で、もう何も存在しないかのような歌詞に、サウンドと対照的に曲が暗い展開へ進むかと緊張させられる。

 

夢ではない そうでもない

僕らはね ここにもない

 誰かのタバコを吸って 一息ついたら

光りだす俺 決意の絵文字

 

しかし、そこから続くサビでは小さくも大きな跳躍を表現している。今の場所で留まることを良しとしない、成長と進化を示した一曲を見事に象徴している。

 

大人一人 まだ飛べるのだ

 

 このフレーズが気に入っている。たぶん映画の冒頭のシーンを思い起こさせるからだろう。

 

江ノ島を俯瞰して

これは「ピンポン」という作品を全て網羅した不思議な曲である。映画の要素もあり、マンガを想起させると思えば、アニメの主題歌としてもきっちりマッチする。

曲単体だと、メレンゲのなかでは異色の作りに思えが、他作品との調和がよく取れた良作である。

 

夢ではない そうでもない

まだ足りない もしもの時あらわる

テレキャス持って 灯りともったら

歌いだす俺 いざエモーショナル

 

歌詞ではテレキャスを持っているが、もしもの時に来てくれるとするなら、右ペンソフト速攻タイプの彼だろうなと想像してしまう。